Case Study
商用EVバンの急速充電時における発熱・電流変動を同時監視
商用EVバンでは、日々の配送業務の中で繰り返し急速充電が行われます。急速充電時には、大電流による発熱、外気温の影響、SOCに応じた電流変動、繰り返し充電による熱蓄積などを考慮する必要があります。
導入製品
導入先概要
商用バンメーカーB社様は、都市内配送、ラストワンマイル物流、法人向けフリート車両を中心に、商用EVバンの開発・製造を行う車両メーカーです。
商用EVバンは、日中の稼働時間が長く、短時間での充電、複数回の急速充電、積載状態での走行など、乗用EVとは異なる運用条件で使用されます。そのため、急速充電時の発熱と電流変動を正確に把握することが、車両の安全性、充電効率、バッテリー寿命、稼働率に直結します。
導入前の課題
B社様では、商用EVバンの急速充電性能を高める一方で、充電時の発熱と電流変動をより詳細に監視したいという課題がありました。
特に以下の点が問題になっていました。
商用EVバンでは、配送拠点や充電ステーションで短時間に繰り返し急速充電されるケースがあります。B社様では、充電時の熱的負荷と電気的負荷を同時に監視し、異常兆候を早期に把握できる仕組みが求められていました。
- 急速充電時に充電コネクタ周辺や電源ライン周辺の温度が上昇する
- 外気温や車両状態によって充電中の温度上昇傾向が変わる
- 充電開始直後や高SOC領域で電流変動が大きくなる
- 発熱と電流変動の関係を同時に評価したい
- 既存ログでは温度データと電流データの突き合わせに時間がかかる
- 充電性能を落とさずに安全マージンを確保したい
- フリート運用での急速充電履歴を保守計画に活用したい
選定のポイント
B社様では、急速充電時の状態を「温度」と「電流」の2つの観点から同時に監視する構成を採用しました。
選定時に重視されたポイントは以下です。
1. 急速充電時の高温環境に対応できること
急速充電中は、大電流によって充電ライン、コネクタ、バスバー、周辺部品が発熱します。温度センサーには、短時間の温度上昇だけでなく、繰り返し充電による熱サイクルにも対応できる性能が求められました。
対象製品:
2. 高出力充電時の電流変動を監視できること
急速充電では、充電器側の制御、バッテリーSOC、温度、車両側制御によって電流値が変動します。B社様では、大電流範囲での測定精度と応答性を重視しました。
対象製品:
3. 発熱と電流の相関を確認できること
温度上昇だけ、または電流変動だけを単独で確認しても、原因の切り分けが難しい場合があります。
B社様では、TMP-610による温度データとCUR-310による電流データを同時に取得することで、以下の関係を確認できる構成を求めました。
- 充電電流の増加と温度上昇の関係
- 高SOC領域での電流低下と発熱傾向
- 外気温による充電時温度変化
- 繰り返し急速充電による熱蓄積
- 異常発熱時の電流変動
4. 商用フリート運用に活用できること
商用EVバンでは、同じ車両が毎日繰り返し充電されます。充電ログを蓄積することで、車両ごとの使用傾向、充電環境、部品劣化の兆候を把握しやすくなります。
B社様では、急速充電時の温度・電流データを保守計画や次期車両開発に活用できることも重視しました。
採用構成
TMP-610:急速充電システム向け高温対応温度センサー
TMP-610は、急速充電システムや高発熱部位の温度監視を想定した温度センサーです。充電コネクタ周辺、バスバー、充電ライン、冷却部品周辺などの温度監視に適しています。
主な用途:
採用理由:
- 急速充電時の発熱監視
- 充電コネクタ周辺温度監視
- バスバー温度監視
- 充電ライン温度監視
- 高温異常検知
- 熱保護制御
- 急速充電時の温度上昇を監視できる
- 高温部品周辺への搭載を想定
- 充電中の温度変化をログ化しやすい
- 商用EVの繰り返し充電評価に適している
CUR-310:高出力充電器向け電流センサー
CUR-310は、高出力充電器や急速充電システム向けの電流センサーです。高出力充電時の電流変動を監視し、充電制御、異常検知、ログ取得に活用できます。
主な用途:
採用理由:
- 急速充電時の電流監視
- 高出力充電器の状態監視
- バッテリー充電電流の監視
- 電流変動ログ取得
- 異常電流検知
- 充電制御の評価
- 高出力充電時の電流範囲に対応
- 充電開始時や高SOC領域の電流変化を把握しやすい
- 温度データと組み合わせた充電状態評価が可能
- 商用EV向け急速充電評価に適している
導入後の効果
B社様では、TMP-610とCUR-310を組み合わせることで、急速充電時の発熱と電流変動を同時に確認できるようになりました。
主な効果は以下です。
1. 急速充電時の発熱傾向を把握しやすくなった
TMP-610により、充電中の温度上昇を連続的に確認できるようになりました。充電開始直後、高電流領域、高SOC領域、充電終了直前など、充電フェーズごとの発熱傾向を把握しやすくなりました。
2. 電流変動と温度上昇の関係を確認できるようになった
CUR-310の電流データとTMP-610の温度データを組み合わせることで、電流が増加したタイミングでどの部位の温度が上昇するかを確認できるようになりました。
これにより、発熱要因の切り分けが容易になりました。
3. 充電制御の評価に活用できた
急速充電では、充電速度と安全性のバランスが重要です。温度と電流を同時に監視することで、充電制御の妥当性を評価しやすくなりました。
たとえば、以下のような評価に活用できます。
- 高電流領域での温度上昇
- 温度上昇時の電流制限動作
- 高SOC領域での電流低下
- 外気温の違いによる充電性能差
- 繰り返し充電時の熱蓄積
4. フリート運用での予防保全に活用しやすくなった
商用EVバンでは、車両ごとに走行距離、積載条件、充電回数、充電環境が異なります。
急速充電時の温度・電流ログを蓄積することで、以下のような保守判断に活用できます。
これにより、部品劣化や接触抵抗増加などの兆候を早期に把握しやすくなります。
- 特定車両だけ温度上昇が大きい
- 同じ充電条件でも電流変動が増えている
- 充電コネクタ周辺の温度が徐々に上がっている
- 充電時間が長くなっている
- 熱保護制御が頻繁に発生している
5. 次期車両開発へのフィードバックが容易になった
取得した温度・電流データは、次期商用EVバンの充電系設計にも活用できます。
たとえば、以下の検討に役立ちます。
- 充電ラインの放熱設計
- コネクタ周辺の熱対策
- バスバー設計
- 冷却経路の最適化
- 充電制御ロジックの改善
- 高出力充電対応の設計検討
導入イメージ
B社様では、TMP-610を充電コネクタ周辺、バスバー近傍、充電ライン周辺に配置し、急速充電中の発熱を監視しました。CUR-310は充電系統の電流監視に使用し、充電開始から終了までの電流変動を取得しました。
これにより、急速充電時の状態を以下の2つの観点から把握できるようになりました。
温度と電流を時系列で比較することで、発熱の原因や充電制御の動作を確認しやすくなりました。
関連製品
TMP-610
急速充電システム向けの高温対応温度センサーです。充電コネクタ、バスバー、充電ラインなど、高発熱部位の温度監視に適しています。
CUR-310
高出力充電器向け電流センサーです。急速充電時の大電流監視や充電制御評価に適しています。
関連技術資料
- EVバッテリー監視センサー選定ガイド
- CAN FD対応センサーの選び方
- 150℃対応センサーの搭載ポイント
- HVAC向け圧力・温度監視の基本
- ADAS向けセンサーの構成例
まとめ
商用EVバンでは、日々の配送業務の中で繰り返し急速充電が行われます。急速充電時には、大電流による発熱、外気温の影響、SOCに応じた電流変動、繰り返し充電による熱蓄積などを考慮する必要があります。
B社様では、TMP-610とCUR-310を組み合わせることで、急速充電時の発熱と電流変動を同時に監視し、充電制御の評価、異常検知、予防保全、次期車両開発へのフィードバックに活用できる構成を実現しました。
シンメトリックセンサーでは、商用EVバン、配送車両、フリート車両向けに、温度センサーと電流センサーを組み合わせた急速充電監視構成をご提案します。